「チャイナタウン」

 かつて「最もレイモンド・チャンドラーの世界観に近付いた映画」と言わしめた (誰が言ったんでしたっけ?)ロマン・ポランスキーの大傑作ハードボイルド!

 しかし本作品はレイモンド・チャンドラーの原作ではなく、かの探偵フィリップ・マーロウも 登場しない歴然たるオリジナル脚本なのだ!

 しかし全然チャンドラーの原作と噛んで無いのに「最もチャンドラーに近い」とまで 言われてしまったのでは、本家チャンドラー原作を映画化した「三つ数えろ」等のスタッフ・ キャストは目も当てられませんやねぇ。
 オレ的にはやっぱしチャンドラー=フィリップ・マーロウ=ハンフリー・ボガートと思って ますけど。

 以上余談でした。し〜かしこ〜のジャック・ニコルソン扮する探偵ギデスの人物造形も独創的 でカッコ良い!
 言われなければそうとは気付かない(最初は「タクシードライバー」のバーナード・ハーマン かと思ってた)ムーディーで非情な情感(という言い方も変ですが)を醸し出すジェリー・ゴールド スミスの音楽っ!

 極めて後味の悪い(笑)絶望に満ち足りて(この言い方も変ですね)しまう絶句のラスト!

 しかしてこ〜のロマン・ポランスキーという監督はかつて前衛的な恐怖で描いた「反撥」からおバカ なパロディ映画「吸血鬼」や、オレに言わせると最もヒッチコックに近いと思う「フランティック」 そして近年堂々たる映画の底力を見せ付けた「戦場のピアニスト」まで、本当に「ああ〜映画監督 になるならこんな監督になりたいな」と思わせる「何を作っても一級品」な監督だと思います。

 ポーランドのユダヤ人で、大戦中はナチスに捕らえられたり、また戦後結婚した奥さんをカルト教団 に惨殺されたり、はたまた幼女への性的暴行容疑で今に至るもアメリカには入国出来なかったりと、 実人生でも激烈なドラマを展開している。やっぱし凄い方なんですねぇ。



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